チガヤ
観察月
奄美大島で見られるチガヤをご紹介。銀白色の綿毛に包まれた花穂や先が尖った線形の葉という外見的特徴を持ちます。初夏に風にそよぐ美しい群落が最大の観察ポイントです。植物図鑑としてご活用ください。 基本情報:北海道南部から沖縄(琉球列島)まで日本全国に広く分布する多年生の在来植物です。強靭な地下茎を張り巡らせて旺盛に繁殖し、初夏には銀白色の綿毛に覆われた美しい花穂を一面になびかせます。古くから「ツバナ」と呼ばれ、子どもたちのおやつや生薬、茅葺き屋根の材料などに利用されてきた人間と関わりの深い草花です。 形態的特徴: 花: 葉に先立って(または初夏に)茎の先に長さ10〜20cmほどの円柱状の円錐花序をつけます。花穂は銀白色の長い絹毛に密に覆われ、動物の尾のように湾曲します。雄しべは2個で橙色〜褐色、柱頭は紫褐色〜黒紫色で2分岐します。開花前の若い花穂は「ツバナ(茅花)」と呼ばれます。 葉: 根生し、線形〜線状披針形で長さ20〜50cm、幅3〜12mm程度になります。先端は鋭く尖り、葉の縁にはケイ酸を含んだ微細な鋸歯があるため鋭利で手を切りやすいです。秋から冬にかけて、葉の縁や葉先が赤褐色や銅色に色づくことが多いのが特徴です。 茎: 地下には太さ3mmほどの強靭な地下茎(根茎)が水平方向に深く(30cm以上)張り巡らされており、節から定芽を出して旺盛にクローン繁殖します。地上茎(稈)は直立し、節に毛がある有毛型(フシゲチガヤ)と無毛型(ケナシチガヤ)の2タイプが見られます。 分布域 / 生育環境: 北海道南部から沖縄まで日本全土に分布。世界的にはアジア、アフリカ、オーストラリア、南北アメリカなど広範囲に及びます。日当たりが良く、乾燥した環境からやや湿った場所まで、河川敷、路傍、畑地、海岸など多様な立地に群生します。 花期: 4月〜8月(主に5月〜6月)。 利用法: 一般的な利用法として、若い花穂(ツバナ)は噛むと甘みがあり昔はおやつとして食べられ、根茎は「茅根(ボウコン)」という生薬として利尿・止血薬に用いられました。また、神道の「夏越の祓」における茅の輪くぐりの材料や、茅葺き屋根の材料としても重宝されてきました。