カラスバサンキライ
観察月
奄美大島の林縁が観察ポイント。カラスバサンキライは、棘のない滑らかな茎と光沢のある葉の外見的特徴を持つつる植物。黒く熟す実や不思議な壺状の花も魅力的です。自然豊かな森で探してみませんか? 基本情報:九州南部から奄美大島など南西諸島にかけて分布する常緑のつる植物です。同科のサルトリイバラなどに見られる鋭い棘を全く持たない扱いやすい性質と、タマバエの一種と「秘密の暗号(香り)」で結ばれた絶対的送粉共生というユニークな生態を持つ、森の賢いサバイバーです。 形態的特徴: 花: 雌雄異株で、葉腋から散形花序を出して淡黄色の小さな花を複数つけます。他のシオデ属と異なり花被片が癒合しており、雄花は筒状、雌花は壺状(ほぼ閉塞した状態)になります。 葉: 互生し、卵形から卵状披針形あるいは心形をしており、長さ5〜28cm、幅3〜12cmに達します。先端は急に細く尖り、基部は円形または緩やかな円心形です。洋紙質からやや革質で表面には上品な光沢があり、5〜7本の平行脈が極めて明瞭に浮き出ます。葉柄の基部の托葉鞘から1対の巻きひげを出し、周囲のものに絡みつきます。 茎: 緑色で硬く、無毛で滑らかです。他の多くのサルトリイバラ類と異なり、全株にわたり「棘が完全に欠如している」のが際立った特徴です。 分布域 / 生育環境: 九州南部(屋久島・種子島以南)、琉球列島(奄美大島など)、台湾、中国南部、インドシナに分布します。林縁や道端などに生育し、マイナス20℃から43℃までの極端な温度変化や乾燥に耐えうる、非常に強靭な環境適応能力を持っています。 花期: 6月〜10月(※環境によっては冬でも花や実をつけます) 利用法: 西日本や南西諸島において、防腐性に富む葉を「しば餅」などを包む包材として利用する伝統があります。また、東洋医学等では根茎が消炎・解毒作用を持つ生薬として扱われ、近年は根部抽出液のチロシナーゼ阻害作用を活かした美白化粧品の原料(特許取得)としても利用されています。 レッドデータ等: 情報なし(※台湾では「暫無危機(LC)」に分類されていますが、日本での環境省等のレッドデータ指定についての記載は資料にありません)