シマウリノキ
観察月
奄美大島の森にひっそり咲くシマウリノキ。切れ込みのない葉と7枚に反り返る白い花という外見的特徴を持つ貴重な樹木です。石灰岩地帯の薄暗い林内が観察ポイント。不思議で魅力的な姿を探してみませんか? 基本情報:九州南部から奄美大島、沖縄など南西諸島にかけて分布する亜熱帯性の落葉低木〜高木です。本土で見られるウリノキに似ていますが、葉に切れ込みがない点や、白い花弁が7枚ある点などが特徴的な、森の奥にひっそりと生育する貴重な植物です。 形態的特徴: 花: 5〜6月頃に開花します。葉の脇から短い集散花序を出し、2〜5個の白い花を下向きに咲かせます。花弁は長さ約2cmの線形で、7枚(まれに5枚等の変異あり)あり、開花すると外側にくるりと強く巻き上がります。花の中からは7本の雄しべが伸び、その基部には黄色の伏毛が密生しています。 葉: 互生し、長さ10〜17cm、幅5〜12cmほどの広卵形から卵形、または倒卵形をしています。本土のウリノキと違い、葉の縁にギザギザや深い切れ込みがない(全縁)のが最大の特徴です。基部はやや斜めでアシンメトリーな形をしており、裏面の脈の分岐点には毛の房があります。 茎: 幹は直立し、若い枝には無毛または短い伏毛が見られます。石灰岩地帯の森では、キジョランなどのつる性植物が巻き付くための重要なホストツリー(支柱)として機能することもあります。 分布域 / 生育環境: 九州南部(鹿児島県)、屋久島、種子島、奄美大島、徳之島、沖縄島などの琉球列島から、台湾、中国南部、東南アジアにかけて分布します。乾燥しやすい石灰岩地帯の中でも、深い谷間や海岸段丘の林内など、風が遮られて湿度が高く保たれた薄暗い環境を好んで生育します。 花期: 5月〜6月 奄美特局情報: 奄美大島を含む南西諸島に自然分布していますが、生育地は局所的で個体数も多くありません。地域の石灰岩林という特異な環境に依存しており、森林伐採や開発による微気象(湿度や日照)の変化に非常に弱い植物です。 利用法: 直接的な人間の利用法に関する記録は乏しいですが、自然界ではアサギマダラ(蝶)の食草であるキジョランなどの生育を支える重要な骨格的役割を果たしています。また、古墓や御嶽(うたき)など、人が古くから保護してきた聖域の森にひっそりと残存していることがよくあります。 レッドデータ等: 沖縄県では「絶滅危惧II類(VU)」に指定されています。奄美大島においても個体数は限定的であり、生息環境の保護が求められる希少な植物です。