イヌクグ
観察月
イヌクグは奄美大島の道端や海岸の草地で見られるカヤツリグサ科の多年草。ブラシ状の穂と丸みを帯びた三角の茎という外見的特徴を持ちます。熟すと小穂が根元から丸ごと落ちるユニークな観察ポイントや似た草との見分け方を解説! 基本情報:本州(関東以西)から四国、九州、奄美大島を含む南西諸島にかけて分布する多年草です。「クグ」とはカヤツリグサ科の植物(特にハマスゲ)を指す古名であり、それによく似ているものの実用性が劣ることから「イヌクグ」と名付けられました。茎の先にボトルブラシのような円柱状の穂をつけるのが特徴です。 形態的特徴: 花: 茎の先端に単一の花序をつけます。花序のすぐ下には、長さの異なる3〜7枚の葉状の「苞葉(ほうよう)」があり、これが放射状に広がって花序の受け皿のようになります。花序は5〜15本の枝に分かれ、その先端に長さ1.5〜3cm、幅6〜10mmの円柱状でブラシに似た穂状花序を形成します。小穂は長さ4〜5mmの線形で緑色から黄緑色をしており、1〜2個の小花を含みます。最大の特徴は、小穂が成熟すると基部の関節から丸ごとポロリと脱落し、後には軸だけが残る点です。 葉: 根出葉は幅3〜6mmの線形で、花茎より短く、外側に向かって緩やかに反り返ります(外反)。葉や苞葉の縁には微細な逆刺状の鋸歯があり、触ると少しざらつきます。 茎: 茎(花茎)は直立し、全体に緑色から黄緑色で強い光沢があります。断面は三角形ですが、角が非常になめらかで丸みを帯びています。地下には卵形に肥厚した強靭な根茎があり、明るい褐色の鞘に包まれ、これが数珠繋ぎになって増殖します。茎の基部は赤褐色から赤紫色を帯びます。 分布域 / 生育環境: 本州(関東地方南部以西)、四国、九州、南西諸島に分布。国外では台湾、朝鮮半島南部、中国、東南アジア、インド、オーストラリア、アフリカなどの熱帯から温帯にかけて広く分布します。乾燥に対する耐性が強く、海岸近くの草地や内陸の道端、農耕地の周辺などに生育します。