ショウベンノキ(ヤマデキ、マデキ)
観察月
奄美大島の森で見られるショウベンノキ。艶やかな三出複葉と、初夏に咲く白い花が外見的特徴です。春先に枝を切ると出る大量の樹液が一番の観察ポイント!ユニークな名前と生態を持つ熱帯・亜熱帯植物の謎を詳しく解説します。 基本情報:四国南部から九州、奄美大島を含む琉球列島や台湾などの温暖な地域に分布する常緑の小高木です。最大の特徴は、春先に枝を切ると切り口から水のような樹液が大量に滴り落ちることで、これが「小便の木」というユニークな和名の由来となっています。初夏に白い小花を咲かせ、秋には赤い果実をつけます。 形態的特徴: 花: 枝の先端から長さ10cm〜20cmの円錐花序を出し、直径約5mmの小さな花を多数つけます。花弁は5枚で白色〜緑白色の倒卵形をしており、萼(がく)よりもやや長くなります。雄しべも5本で花弁と同長、雌しべの柱頭はわずかに3裂します。 葉: 茎に対生してつき、基本的には3枚の小葉からなる「三出複葉」です(まれに単葉や5小葉になることもあります)。小葉は長さ7cm〜15cmの長楕円形で、先端は鋭く尖り、縁には浅い鈍鋸歯があります。多肉質のような厚い革質で表面には強い光沢があり、裏面は主脈が著しく隆起しています。 茎: 頂芽を作らず、1対の仮頂芽から有花枝や無花枝を伸ばしてY字型(二又)に分枝しながら成長します。若い枝は緑色で無毛、縦の白い筋(皮目)が目立ちます。成木の樹皮は黒褐色〜暗褐色で白い斑点があり、エゴノキに似たのっぺりとした質感になります。 分布域 / 生育環境: 国内では四国(高知県西南部)、九州(大分県・長崎県以南)、琉球列島(奄美大島を含む南西諸島)に自生し、国外では台湾や中国南部に分布します。黒潮の影響を受ける温暖で湿潤な常緑樹林内や渓流沿いに生育します。 花期: 3月〜6月(奄美大島や沖縄などの温暖な地域では早く、3月末〜4月頃から咲き始めます)。果期は11月頃で、直径7〜10mmの液果が赤く熟します。