マツバラン

ID 0395
その他

観察月

5月
2026年5月 フナンギョの滝周辺

奄美大島の森や岩場に着生するマツバラン。根も葉もなく緑色の茎が二又に分かれる不思議な外見的特徴が魅力です。黄色く熟す丸い胞子嚢が観察ポイント!江戸時代から愛された生きた化石の生態と秘密を解説します。 基本情報:名前に「蘭」とつきますがラン科ではなく、維管束植物でありながら根も葉も持たないという極めて原始的な姿をしたシダ植物です。「生きた化石」とも呼ばれ、太古の植物が退行的進化を遂げた結果だと考えられています。日本では江戸時代から「奇の文化」を代表する古典園芸植物として珍重され、数多くの品種が作られました。現在、野生のものは乱獲や環境変化により減少し、全国的に準絶滅危惧種に指定されています。 形態的特徴: 花: シダ植物であるため、花は咲きません。代わりに胞子で繁殖します。 葉: 植物学的な意味での「真の葉」は存在しません。茎の表面に「前葉体」や「鱗片状突起」と呼ばれる小さな突起がまばらに互生していますが、これらには維管束が通っていません。 茎: 根を持たず、地下には水平に伸びる地下茎(根状茎)があり、そこから褐色の仮根を出して菌類(内生菌)と共生し栄養を得ます。地上茎は緑色で無毛、直立または下垂し、上方で「二叉分枝(一つの軸が二つに分かれる)」を規則正しく繰り返して箒(ほうき)のような独特のフォルムを形成します。枝には稜があり断面は三角形になります。分岐点の付近に3つの胞子嚢が合着した丸い「合嚢(単体胞子のう群)」をつけ、未熟な時は緑色ですが、成熟すると鮮やかな黄色から橙色に変化します。 分布域 / 生育環境: 日本国内では本州(宮城県・石川県以南の暖地)、四国、九州、琉球列島(奄美から沖縄諸島)、小笠原諸島に分布します。国外では世界の熱帯から亜熱帯地域に広く分布します。 花期: 花は咲きませんが、常緑性のため一年中観察でき、成熟した黄色い胞子嚢群も見られます。

マツバラン科 マツバラン属(シダ植物)
学名 Psilotum nudum (L.) P. Beauv.