ヤナギイチゴ(メグサリ、コゴメイチゴ)
観察月
奄美大島の林縁や渓流沿いで見られるヤナギイチゴ。細長い葉と橙黄色のイチゴ状の果実という外見的特徴が魅力です。裏面が真っ白な葉が風に揺れる様子が観察ポイント。イラクサ科の珍しい木イチゴの生態を解説します。 基本情報:名前に「イチゴ」と付きますがバラ科ではなくイラクサ科に属する落葉低木です。ヤナギのように細長い葉と、キイチゴに似た橙黄色の集合果をつけるのが特徴です。葉の裏面には真っ白な絹毛が密生しており、風に揺れると白く目立ちます。初夏に実る果実は食用になるほか、かつては強靭な樹皮から繊維を取り出して麻の代用品として利用されていました。 形態的特徴: 花: 雌雄異株(稀に同株)。葉の展開後である3月〜5月にかけて、葉の付け根(葉腋)から長さ約1cmの柄を出し、多数の微小な花が球状に密集した「団散花序」を2個ずつ対になってつけます。雄花は花被片と雄しべが4個あり、雌花は花被が壺状に子房を包み込み、柱頭には白い毛が房状に密生します。 葉: 互生し、長さ7cm〜20cm、幅1cm〜2.5cmほどの線状披針形または長楕円形をしています。葉の表面は三行脈が深く窪んでシワがあり、やや光沢があります。裏面には雪白色または銀色の絹毛(綿毛)が密生しています。 茎: 幹は灰褐色で細かい皮目が多数あります。枝はよく伸びて広がり、若い枝には白い毛が多く見られます。樹皮は非常に強靭な繊維質です。 分布域 / 生育環境: 日本国内では関東地方以西の本州、四国、九州、沖縄(琉球諸島)に分布し、国外では中国、台湾、インド、ネパールなどに広く分布します。海岸近くから山地にかけての湿潤な林縁や渓流沿い、日当たりの良い斜面や岩場に生育します。 花期: 3月〜5月(果期は5月〜9月。6月頃に多肉化した花被が痩果を包み込み、直径5〜7mmの橙黄色をしたイチゴ状の集合果になります)。 利用法: 一般的には、甘みのある果実を生食したり、ジャムや果実酒に加工して利用します。また、古くは強靭な樹皮から繊維を採り、紐や網、布を織る麻の代用品として利用されていました。