イタチハギ(クロバナエンジュ)
観察月
奄美大島の日当たりの良い荒地や海岸が観察ポイントのイタチハギ。イタチの尾のような黒紫色の花と細かい羽状の葉が外見的特徴ですが、生命力が強すぎる外来種としての顔も持ちます。 北アメリカ原産の落葉低木。かつて法面緑化や砂防用として日本全国に導入されたが、現在は旺盛な繁殖力により在来種を駆逐する恐れがあり、「日本の侵略的外来種ワースト100」や「生態系被害防止外来種(重点対策外来種)」に指定されている要注意植物。 形態的特徴: 花: 枝先に長さ6〜20cmの細長い穂状花序を数個出す。花弁は筒状に巻いた1枚の「旗弁」のみで翼弁と竜骨弁は退化しており、濃紫色〜黒紫色をしている。雄しべは10本あり、先端の黄色〜オレンジ色の葯が暗紫色の花弁と強いコントラストをなし、全体としてイタチの尾のような外見になる。 葉: 長さ10〜30cmの奇数羽状複葉が互生する。小葉は5〜17対(11〜35枚)あり、長さ1.3〜5cmの長楕円形〜卵形。葉の裏面や表面には明色の「腺点」が点在し、葉を揉むと特有の独特な芳香(クミンや柑橘のような香り)を放つ。ハリエンジュと異なり、小葉の先端には微突起がある。 茎: 若い枝は緑色〜暗緑褐色で微細な短毛があり、刺(トゲ)はない。 分布域 / 生育環境: 北アメリカ東部〜メキシコ原産。ヨーロッパやアジアなど世界中に帰化しており、日本では北海道から沖縄(琉球列島)まで全国に広く分布している。土壌適応性が高く、荒れ地や河川敷などに密生する。 花期: 4〜7月(主に5〜6月) 利用法: 奄美大島固有の利用法は確認されていないが、日本全国(南西諸島を含む)で道路工事の法面緑化や、荒廃地の土砂流出防止、防風等の目的で植栽されてきた。窒素固定能力を持つため、肥料木としても利用された。 レッドデータ等: 環境省の「生態系被害防止外来種リスト」にて「総合対策外来種(重点対策外来種)」に指定。また、日本生態学会の「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されている。奄美大島を含む琉球列島にも分布が拡大しており、在来植物との競合が懸念されるため防除対策が必要とされている。