ヤンバルセンニンソウ(テリハセンニンソウ)
観察月
奄美大島の明るい林縁が観察ポイント!ヤンバルセンニンソウは、強い光沢の葉と純白の花が外見的特徴のつる性植物です。有毒ですが、亜熱帯の森を覆い尽くすように咲き誇る美しい姿を探してみてください。 基本情報:種子島・屋久島以南から南西諸島、台湾、東南アジアにかけて分布する常緑の木本性つる植物。強い光沢のある厚い葉と、初夏に無数に咲く白い十字形の花が特徴。全草を乾燥させると黒変する性質を持つ。 形態的特徴: 花: 茎頂または葉腋から円錐状の集散花序を出し、直径1.5〜3cmほどの白い花を上向きに多数咲かせる。花弁に見えるものは4枚の「萼片」であり、白色の倒披針形で十字状に平開する。花の中央には多数の雄蕊と雌蕊があり、雄蕊の葯は先端が突出する(葯隔突出)。雌蕊の花柱には淡黄色の長い開出毛が密生している。 葉: 対生し、3枚の小葉からなる「1回3出複葉」。小葉は長さ5〜12cmの卵形〜長卵状楕円形で、縁にギザギザのない全縁。厚い革質で表面の光沢が非常に強いのが特徴であり、「テリハセンニンソウ(照葉仙人草)」の別名の由来となっている。裏面はやや白みを帯び、乾燥すると全体が黒色に変色する特性がある。 茎: つる性で他の樹木などに絡みついて成長し、古くなると下部は木質化する。茎は淡紫褐色で無毛。若い枝や葉柄、花柄は赤みを帯びることが多い。受粉後の果実(痩果)は半月状で、長く伸びた羽毛状の花柱がパラシュートの役割を果たし、風で種子を散布する。 分布域 / 生育環境: 国内では九州(種子島・屋久島以南)、トカラ列島、奄美群島、沖縄諸島、八重山諸島(宮古群島を除く)に分布。国外では台湾、中国南部、フィリピン、ベトナム、東南アジアからインドに広く分布。亜熱帯の明るい林縁や低木林の冠部などに生え、旺盛に這い登って光を独占する。 花期: 4月〜9月(春〜夏にかけて長く咲く。暖地では3月頃から開花が見られることもある) 利用法: 植物体内に配糖体を含み、傷つけるとプロトアネモニンという有毒成分が生成される。皮膚に触れるとかぶれや炎症を引き起こすため「牛食わず」とも呼ばれる。取り扱いには注意が必要だが、その美しさと強健さから、壁面緑化やつる棚(パーゴラ)向けの園芸植物として利用されることがある。