ブゾロイバナ(フソロイバナ、ブソロイバナ)
観察月
奄美大島の道端で目を惹くブゾロイバナ。和名の由来や、学名 Anisomeles indica が示す不思議な外見的特徴を徹底解説!紫色の不揃いな花や独特の香りを放つ生態など、日当たりの良い林縁での観察ポイントをご紹介します。 基本情報:九州南端から琉球列島に分布する大型の草本。全体に曲がった毛が密生し、強い刺激臭を放つのが特徴。花の上唇と下唇の形が大きく異なり「不揃い」であることが名前の由来とされる。 形態的特徴: 花: 茎の節や葉腋に密集した集散花序を作り、長さ4〜13cmの穂状(総状)になる。紅紫色〜紫紅色の唇形花で長さ10〜20mm。上唇は短小で平坦だが、下唇は大きく発達して3裂し、中裂片はさらに2浅裂する。4本の雄しべが長く突き出し、開花前の蕾は五角錐の形をしている。 葉: 対生し、長さ3〜12cmの卵形。先端は鋭く尖り、基部は真っ直ぐ切れた形かやや心形になる。縁には鈍い鋸歯がある。葉身は膜質で、表面・裏面ともに毛が生える。 茎: シソ科特有の四角形(断面が正方形に近い)をしており、直立して横枝を出す。表面には曲がった短い毛が密生しており、植物体全体から刺激的な匂いを発する。 分布域 / 生育環境: 国内では鹿児島県(奄美大島、与論島)以南の琉球列島(沖縄)に分布。国外では台湾、中国南部、インド、東南アジアからオセアニアまで広く分布。日当たりの良い低地の路傍、林縁、田畑の縁など、適度な人為的撹乱がある環境を好む。 花期: 3月〜10月(温暖な奄美・沖縄地域では年間を通じて開花が見られることもある) 利用法: 国外(インド、スリランカ、中国、台湾など)の伝統医学では、健胃、鎮痛、抗炎症、皮膚疾患の治療などに全草や葉の煎じ薬が用いられてきた。現代科学においても、成分(オバトジオライドなど)が持つ強力な抗炎症作用や抗ウイルス効果、さらに強い匂いを活かした天然の忌避剤としての研究が進められている。 レッドデータ等: 環境省のレッドリストには指定されていないが、国内分布の北限にあたる鹿児島県のレッドデータブックにおいては「絶滅危惧I類」に指定されており、地域的には希少な植物として扱われている。