ハナハマセンブリ
観察月
奄美大島の海岸や道端が観察ポイントとなるハナハマセンブリ。ピンク色の花と中心部の白さという外見的特徴を持つリンドウ科の帰化植物です。よく似たベニバナセンブリやシマセンブリとの見分け方も解説する植物図鑑! 基本情報:ヨーロッパおよび地中海沿岸原産の帰化植物(外来種)。初夏から夏にかけて、中心が白く抜けたピンク色の小さな星型の花を密集して咲かせる。夕方や雨の日には花を閉じる性質がある。同じ外来種のベニバナセンブリや、絶滅危惧種である在来種のシマセンブリとよく似ている。 形態的特徴: 花: 6月〜8月(温暖な地域では4月から)頃、よく分岐した茎の上部に多数の花を密集させて咲かせる(集散花序、散房状で頭が平らになることが多い)。花の直径は8〜11mm。花冠は5深裂し、花びら(花冠裂片)は細い長円形〜披針形で、色は濃いピンク色だが、中心部(花喉部)がくっきりと白く抜けるのが大きな特徴。蕾はほっそりとしており、花びらの部分よりその下の筒部分(花筒)の方が長い(比率で1:1.3〜1.5)。夕方や雨の日は花を閉じる。 葉: 茎に十字対生する。葉柄はなく(無柄)、下部の葉は倒卵形〜楕円状長円形、上部の葉は披針形で先端が尖る。葉の縁は全縁。近縁のベニバナセンブリと異なり、花期には根元の葉(根生葉)の多くが枯れて無くなっている(ロゼットを形成しない)。 茎: 全体的に無毛。茎の断面は四角形(4稜形)で稜には翼があり、中は空洞。直立し、下部から上部にかけて非常によく枝分かれする。 分布域 / 生育環境: 地中海沿岸・ヨーロッパ原産。日本では東北地方南部以南の本州、四国、九州、沖縄などに帰化し、広く分布する。日当たりのよい海岸や空き地、河川敷などに生育し、強健でアスファルトの隙間などにも生える。 花期: 6月〜9月頃(奄美などの温暖な地域では4月頃から開花が見られる)。 利用法: 胃薬として有名な在来の「センブリ」の近縁であるが、本種はわずかに苦味を感じる程度で、薬用としての利用価値は低く、一般的には野外の雑草として扱われる。 レッドデータ等: 外来種であるため絶滅危惧種の指定はない(国立環境研究所の侵入生物データベースにて「定着」と記録されている)。しかし、奄美大島などに生育する希少な在来種「シマセンブリ」と生育環境(ニッチ)が重なるため、在来種との競合や駆逐といった生態系への悪影響が懸念されている。