リュウキュウガネブ

ID 0250

観察月

5月 6月
2026年5月
2026年5月
2025年10月5日 笠利・須野ダムの林道 果実の状態、花はまだ見たことが無いです。
2026年6月
2026年6月

奄美大島の海岸林で出会えるリュウキュウガネブ。葉の裏に褐色の綿毛が密生する外見的特徴を持つ野生のブドウです。小さな黒紫色の実と、1年中花を咲かせる常緑の姿が観察ポイント。 基本情報:奄美諸島以南の琉球列島に自生する、沖縄・奄美固有の野生ブドウです。本土に自生するエビヅルの変種とされていますが、冬でも葉を落とさない「常緑性(無休眠性)」を持ち、1年中花を咲かせて実をつけるという亜熱帯特有の進化を遂げています。強い紫外線から身を守るため、小さな果実の果皮にはアントシアニンやポリフェノール、レスベラトロールなどの機能性成分が本土の野生ブドウを凌駕するほど豊富に含まれています。沿岸開発等で自生地が激減し絶滅が危惧されていますが、近年は保全活動とともにワインやリキュールの原料として復活を遂げている貴重な植物です。 形態的特徴: 花: 雌雄異株です。長さ6〜12cm(最大18cm程度)の総状円錐花序を出し、淡黄緑色から淡黄色の微小な花を多数咲かせます。雄花は雄しべが長く、雌花は雄しべが短く外側に反るという形態的特徴があります。 葉: 互生します。葉身は長さ・幅ともに6〜18cmとエビヅルより大型で、厚い革質を呈します。形状は卵形から三角状広卵形で、ごく浅く3〜5裂し、縁には低い鋸歯があります。表面は葉脈のシワが目立ち、裏面には強い潮風や紫外線から身を守るための赤褐色(淡褐色や灰色)の綿毛(クモ毛)が全面に密生するのが大きな特徴です。 茎: 巻きひげを出して他の樹木などに絡みつきながら上昇します。巻きひげは葉と対生して出ますが、ブドウ属の特徴として「2節続けて出ると1節休む(3節目ごとに消失する)」という規則的なパターンを示します。 分布域 / 生育環境: トカラ列島、奄美諸島以南の琉球列島(沖縄、八重山諸島など)。日当たりの良い海岸近くや低地の原野、沿岸林の林縁に生息します。 花期: 主に5月〜10月ですが、休眠性を持たないため自生地ではほぼ1年中(通年)開花が見られます。 奄美特有情報: 方言: ガネブ(九州南部〜沖縄地方の方言で「ブドウ」を意味します) 利用法: 果実は甘酸っぱく生食も可能ですが酸味が強いため、古くは神事の際の「御供物」として用いられました。現在はその高い抗酸化成分を活かし、果汁100%のナチュラルワイン(銘柄「涙(Nada)」や海洋熟成ワインなど)やリキュール、コンフィチュール、化粧品の原料として利用されています。また、暑さに強い育種資源として高級ブドウと掛け合わされ「香大農R-1」というワイン用新品種の親にもなっています。 レッドデータ等: 沿岸部の埋め立てや開発によって野生個体は激減し、絶滅危惧状態にあります。現在は保護栽培が進められており、国際的な食の保護プロジェクトであるスローフード協会の「味の箱船(Ark of Taste)」にも登録されている貴重な遺伝資源です。

クロウメモドキ目 ブドウ科 ブドウ属
学名 Vitis ficifolia Bunge var. ganebu Hatus.