ヒメキセワタ

ID 0096

観察月

3月 4月

奄美大島など南西諸島で探す幻の花、ヒメキセワタ。 白い毛が密生する花冠のキュートな外見的特徴が魅力です。 半陰地の林縁が観察ポイント。希少な姿を見つけよう! 山地の林縁、半陰地の草原、農道沿いのやや湿り気のある場所、適度な人為的攪乱(定期的な草刈りなど)がある環境を好む。 地下に塊茎を持つ、東アジアに隔離分布するシソ科の多年草です。花冠に密生する白い長軟毛を「綿を着た姿」に見立てたことが名前の由来で、大型の近縁種「キセワタ」に対し、小型で繊細なため「姫」が冠されました。環境省のレッドリストで「絶滅危惧II類 (VU)」に指定される希少種です。 形態的特徴: 花:茎の上部の葉腋に数個ずつ集まり、輪散花序を形成します。花冠は長さ2.5〜3cmほどの唇形で、美しい紅紫色をしています。上唇はフード状に直立し、外面に「着せ綿」の由来となる白い長軟毛が密生します。下唇は3裂し、中央の裂片が最も大きく下方に反り返ります。強二強雄蕊(4個中2個が長い雄しべ)と、先端が2裂する1個の雌しべを持ちます。 葉:対生し、卵形から広卵形を呈します。縁には鈍い鋸歯があり、基部はくさび形から切形となります。近縁のキセワタのような深い欠刻状鋸歯を持つことは少ないです。 茎:シソ科特有の四角柱状で直立します。表面には下向きの伏毛が生え、節の部分にはさらに毛が密生する傾向があります。 分布域 / 生育環境: 国内では九州、四国、沖縄などの南西諸島に局所的に分布します。国外では中国大陸(東北部・北部)、朝鮮半島、ロシア沿海地方に分布しています。氷河期の分布が断片化して生き残った遺存種と考えられており、適度な日照と湿り気のある林縁などを好みます。 レッドデータ等: 環境省レッドリストで「絶滅危惧II類 (VU)」、沖縄県で「絶滅危惧IA類 (CR)」、鹿児島県で「絶滅危惧II類 (VU)」に指定。遷移の進行、開発、シカの食害、園芸目的の盗掘により存続が強く危ぶまれています。

シソ科 ヒメキセワタ属(※近年オドリコソウ属から独立)
学名 Matsumurella tuberifera (Makino) Makino