オオシマウツギ
観察月
奄美群島の固有種「オオシマウツギ(大島空木)」の生態や、マルバウツギとの違い(葉柄の有無)を詳しく解説。 徳之島で旧暦3月3日の墓正月にお供えされる文化的背景や、現在の保全状況(レッドデータ)まで網羅した植物図鑑です。 形態的特徴: 花: 春(3~5月頃)に、今年枝の先の頂端に長さ3~10cm程度の円錐花序を出します。白色の5弁花(花弁の長さ6~7mm)を25~30個ほどつけます。 葉: 対生し、長さ3~8cm、幅2~4.5cm程度の卵形~卵状楕円形をしています。厚い草質で、先端は鋭く尖り、基部は鈍形または円形、縁には細かい鋸歯があります。 茎・果実: 樹皮は淡灰褐色で、年数を経ると剥がれます。今年枝は赤褐色を帯び、星状毛が散生します。花後には径3~4mm程度で椀形の蒴果をつけます。 近縁種との違い: マルバウツギに似ていますが、花序のすぐ下(根元)にある葉に短い葉柄がある(無柄ではない)ことが明確な区別点となります。 分布域: 日本固有種。奄美群島(奄美大島、徳之島、喜界島、沖永良部島)および加計呂麻島という限られた地域にのみ分布します。 ※なお、名前の「大島」は伊豆大島ではなく、奄美大島にちなんだものです。 花期: 3~5月(陰暦4月の「卯月」の頃がウツギの花の盛りとされます)。 奄美特有情報: 利用法: 徳之島の東部地区(喜念や目手久などの集落)では、旧暦3月3日を「先祖祭りの日(墓正月)」とし、墓参りの際にヨモギ、ユリ、そしてこのオオシマウツギの3種を花生けに供える伝統的な習慣があります。 レッドデータ等(奄美における今後の話): 個体数が少ないため、鹿児島県のレッドデータブックで準絶滅危惧に指定されています。また、変種のオオバナオオシマウツギ(徳之島固有)は情報不足、オキナワヒメウツギ(沖縄島固有)は環境省および沖縄県で絶滅危惧IA類に指定されており、これら固有植物の動向把握と保全が地域における課題となっています。