コヤブミョウガ
観察月
奄美大島の林床にひっそり咲くコヤブミョウガ。ミョウガに似た葉や白い花の外見的特徴が魅力です。青く輝く金属のような美しい果実が最大の観察ポイント!日陰を彩る貴重な植物の秘密を解説します。 基本情報:日本の九州南部から奄美大島を含む南西諸島、台湾や中国南部に分布する常緑の多年草です。ヤブミョウガに似ていますが全体的に小型で、林床の薄暗く湿度の高い環境に適応しています。白い小さな花を咲かせた後、セルロースの構造色によってメタリックな青色(黒紫色)に輝く美しい果実をつけるのが最大の特徴です。近年は森林開発や環境変化などにより各地で絶滅が危惧されています。 形態的特徴: 花: 茎の先端に長さ3cm〜10cmの円錐状集散花序をつけ、白色の小さな花(径数mm)を咲かせます。花弁には斑点があり、完全な雄蕊が3個、仮雄蕊が3個あります。内花被片は萼片よりやや短くなっています。 葉: 長さ5cm〜15cm、幅3cm〜4cmの披針形から披針状長楕円形で、先端は鋭く尖ります(鋭尖頭)。基部は次第に細くなり短い柄になります。ショウガ科のミョウガの葉に似た外見を持っています。 茎: 直立しますが、下部は曲がります。地下には長く這う根茎(地下茎)があり、クローンを形成して広範囲に群生する特性を持っています。 果実: 花後には径約8mmの球形の液果をつけます。この果実は色素ではなくセルロースの多層構造による「構造色」で金属的に青く輝き、乾燥しても色褪せないという特徴があります。 分布域 / 生育環境: 日本国内では九州南部(甑島、屋久島以南)から奄美群島、沖縄諸島、先島諸島にかけて分布します。国外では台湾、中国南部、マレーシアに分布。山地の湿度の高い場所、林下や林縁の常緑広葉樹林の林床に生育します。 花期: 6月〜7月 利用法: 春先の柔らかい若芽を茹でてアク抜きし、味噌和えやお浸しなどにして食用とすることができます。また、その小型の草姿や美しい果実から、シェードガーデン(日陰の庭)やテラリウム用の観賞植物としても価値が注目されています。 レッドデータ等: 奄美大島が属する鹿児島県では絶滅危惧II類(VU)相当として検討対象となっているほか、沖縄県や石垣島でも絶滅危惧II類(VU)に指定されています。森林開発や林道開設に伴う林内の乾燥化が、本種の生存を脅かす大きな要因となっています。