キキョウラン
観察月
奄美大島の海岸が観察ポイント!キキョウランは、剣のような葉と青紫色の花や実の外見的特徴が美しい植物です。薬用にもなる一方で有毒な面も併せ持つ、不思議な生態をご紹介します。 基本情報:紀伊半島以南の暖かい地域や熱帯アジアなどに広く分布する常緑多年草。蘭や桔梗の仲間ではないが、剣のような葉と青紫色の花からその名が付いた。丈夫で庭の植栽としても人気がある一方、有毒植物であるため扱いには注意が必要。 形態的特徴: 花: 高さ50cm〜1mほどの花茎を伸ばし、先端にまばらな円錐花序を形成する。花は直径8〜10mmほどで、青色から青紫色の6弁花(外花被3枚、内花被3枚)を横から下向きに咲かせる。花被片は開花が進むにつれて平開し、反り返る。6本の雄しべがあり、花糸の上半部が膝折れ(屈曲)して肥厚するという独特の構造を持つ。 葉: 地際から多数生じ、互いに重なり合うように二列性に互生する。長さ40〜60cm、幅1.5〜2cm程度の線形あるいは剣形で、先端に向かって徐々に細くなる。革質で厚みがあり、表面には強い光沢を放つクチクラ層が発達している。基部は二つ折りの鞘状(V字型)になって重なり合う。 茎: 非常に強靭で分枝する地下茎(根茎)を持ち、地下を横に這ってクローン増殖する。地下茎の直径は約4mmで、そこから放射状に伸びる根の表面には水分を吸収するための軟毛が密生している。 分布域 / 生育環境: 国内では本州(紀伊半島)、四国、九州、小笠原諸島、および琉球列島(奄美大島を含む)に分布。国外では台湾、中国南部、インド、マレーシア、オーストラリアなど熱帯アジア広域に広く分布する。海岸の海食崖や砂丘から、低地の林縁、標高3000mの高山地帯まで、極めて高い環境適応能力を持つ。 花期: 5月〜7月(国内の暖地では3月〜4月、熱帯域では周年開花する) 利用法: 奄美大島などの南西諸島においては海岸近くに自生し、外来種である「ギンネム」の拡散を抑制するためのグラウンドカバー(被覆植物)として活用が推奨されている。また、国内外で観賞用(斑入り品種など)として庭園や鉢植えで親しまれる。果実の果汁を青色の染料として利用する文化や、根を駆虫薬・産後の回復薬などとする民間療法の記録(東南アジア・中国など)もあるが、人間や家畜に対して強い毒性を持つため素人の使用は危険である。