ヒカンザクラ(緋寒桜)
観察月
奄美大島の冬の風物詩、緋寒桜(カンヒザクラ)。鮮やかな緋色の花を釣り鐘状に咲かせるのが特徴です。1月〜2月にかけて見頃を迎え、奄美自然観察の森では満開の桜とルリカケスなどの貴重な野鳥観察も楽しめます。日本で一番早く咲く桜の生態をお届けします。 開花時期は1月〜3月頃で、奄美では1月中旬から開花が始まり、「日本で一番早く咲く桜」として知られています。 また、カワヅザクラ(河津桜)などの早咲き品種の交配親としても重要な役割を果たしています。 独特な花の形と色:ソメイヨシノのように花びらが大きく平らに開くのではなく、カンパニュラのように釣り鐘状(ベル状)で下向きに半開きの状態で咲くのが最大の特徴です。 花色は非常に鮮やかな濃い紫紅色(緋色)をしています。 樹高と葉:樹高は一般的に5~8m程度です。葉は長さ8~13cmの長楕円形で、表面は光沢のある濃緑色をしています。 潔い散り方:花びらが一枚ずつ舞い散るのではなく、萼(ガク)がついたまま花首から「ボトッ」と丸ごと落ちる特徴があります。 木の下に花がそのまま落ちてピンク色の絨毯のようになります。 本土の感覚では「首が落ちる」ようで縁起が悪いとされることもありますが、沖縄などでは「別々に散るより、家族が一緒という意味」と好意的に解釈されることもあります。 桜前線が「南下」する:サクラは通常、寒さを経験して休眠から目覚める(休眠打破)性質があります。 沖縄では冬の訪れとともに北部の山間部から先に冷え込むため、本土とは真逆で「北から南へ」と桜前線が降りていくという珍しい現象が起きます。 奄美における興味深い話 開花宣言の「標本木」:日本全国の桜の開花予想は一般的にソメイヨシノが基準ですが、ソメイヨシノが育ちにくい鹿児島県奄美地方や沖縄県では、このヒカンザクラが開花の基準となる標本木に指定されています。奄美大島の龍郷町では、「奄美自然観察の森」に植えられているヒカンザクラの「標準木」に5輪以上の花が咲くことで開花宣言が出されます。 野鳥観察と桜のコラボレーション:その「奄美自然観察の森」とその周辺の町道は、1月下旬から2月にかけて約1,000本ものヒガンザクラ(ヒカンザクラ)が満開になり、見事な景色を作り出します。 この時期の奄美大島では、鮮やかな桜の花とともに国指定天然記念物であるルリカケスなどの貴重な野鳥を同時に観察することができ、世界中から野鳥ファンが訪れる冬の風物詩となっています。