ハスノハカズラ
観察月
奄美大島にも自生するハスノハカズラをご紹介。ハスに似た盾状の葉や秋の赤い実という外見的特徴を持ちます。独特の葉の付き方が最大の観察ポイントです。植物図鑑としてご活用ください。 基本情報:本州(関東・東海以西)から沖縄(奄美・琉球列島)、さらにはアジア、オセアニアにかけて広く分布する常緑のつる性木本です。葉の裏側の中央付近に葉柄がつく「盾状着生」という特徴がハスの葉に似ていることから、この和名がつけられました。秋には可愛らしい赤い実をつけます。有毒なアルカロイドを含む一方で、古くから生薬として、また海外では健康的なゼリーの材料として利用されてきた奥深い植物です。 形態的特徴: 花: 雌雄異株。葉の付け根(葉腋)から柄のある複散形花序を出し、淡緑色〜淡黄緑色の極めて小さな花を多数密集して咲かせます。雄花は萼片6〜8個、花弁3〜4個を持ち、6個の雄しべが合着して円盤状になります。雌花は萼片・花弁ともに3〜4個で、1つの雌しべを持ちます。 葉: 互生し、長さ5〜12cmほどの三角状広卵形〜広卵形です。先端は鈍く尖り、基部は丸みを帯びます。最大の特徴は、葉柄が葉の縁ではなく内側(中央寄り)につく「盾状着生」をしている点です。葉の表面は濃緑色で光沢があり、裏面は粉白色を帯びます。両面とも無毛です。 茎: 茎は細くしなやかな蔓(つる)となり、右巻き(反時計回り)に他の植物などに巻きついて成長します。全株無毛で、古い茎はわずかに木質化します。地下の根茎は肥大して木質化し、環境によっては大きな塊根になることもあります。秋には直径6〜9mmの球形の果実(核果)が房状につき、赤〜橙赤色に熟します。 分布域 / 生育環境: 本州(関東地方・東海地方以西)、四国、九州、沖縄(奄美諸島・琉球列島)に分布。国外では中国、台湾、インドから東南アジア、オーストラリア、太平洋諸島まで広く自生します。海岸に近い日当たりの良い山地、草原、林縁などで旺盛に生育します。 花期: 地域により異なり、奄美や沖縄などでは4月〜5月頃から、日本本土では主に7月〜9月にかけて開花します。 利用法: 一般的な利用法として、根にはハスバノニンなどのアルカロイドが含まれており、生薬「粉防已(フンボウイ)」として利尿、鎮痛、神経痛、リウマチなどに用いられてきました。また、インドネシアなどでは葉を揉み出して固めた「チンチャウ」というグラスジェリー(食用ゼリー)として親しまれています。