ハマボッス
観察月
奄美大島で観察できるハマボッスは、多肉質で光沢のある葉と白い花が外見的特徴です。海岸の岩場や砂地に自生し、仏具に似た丸い実が観察ポイント。過酷な環境で生き抜く健気な姿を紹介します。 基本情報:世界中の温帯から熱帯の海岸に広く分布する海浜植物の越年草(二年草)です。花が終わった後にできる丸い果実が並ぶ様子が、僧侶が使う法具の「払子(ほっす)」に似ていることから名付けられました。種子は海流に乗って遠く離れた島や大陸へと運ばれる、ワールドワイドな生存戦略を持っています。 形態的特徴: 花: 5〜6月頃、茎の先端に総状花序を出し、直径1〜1.2cmの白色または淡紅色の小花を多数咲かせます。花冠は5つに深く裂ける合弁花です。 葉: 互生し、長さ2〜5cm、幅1〜2cmの倒卵状へら形から長楕円形をしています。多肉質で厚みがあり、表面には強い光沢(発達したクチクラ層)と多数の黒色腺点があります。風の強い場所では節間が詰まり、ロゼット状になることもあります。 茎: 植物体全体が無毛で、茎には稜(角ばった条線)があります。アントシアニン色素により赤みを帯びることが多く、基部から盛んに分枝して直立し、株立ち状の群落を形成します。 分布域 / 生育環境: 北海道から沖縄県までの日本全土の沿岸部および小笠原諸島に分布します。国外では、朝鮮半島、中国、台湾、東南アジア、インド、オーストラリア、太平洋諸島、マスカレン諸島など極めて広範囲に分布します。海岸の砂地や岩場、崖地に生育します。 花期: 5月〜6月 奄美特有情報: 方言: 奄美地方では「グショウバナ(後生花)」と呼ばれます。波打ち際の荒涼とした断崖に咲き誇る白い花束のような姿を、死後の世界(後生)に咲く花に見立てた命名とされています。 利用法: 全草を乾燥させたものは生薬として利用され、各種フラボノイドを含み、利尿作用や皮膚疾患の消腫作用があるとされています。 レッドデータ等: 全国的なレッドデータ指定はありませんが、南西諸島には花が淡紅色になる「ベニバナハマボッス」が多く生育しています。